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2008年8月29日 (金)

あなざー☆すたー 17.文明の利器、その名は携帯!

17.文明の利器、その名は携帯!

 目が覚めると、昼の一時半を少し回ったところだった。

 今頃は昼休みか……

 ふと、携帯を見るとメールも着信も入っていた。

 ――着信、4件。
 
 ――メール、9件。

 ……って、多ッ!?

 まず、着信からチェックした。

 01 4/28 mon 13:26 090-××××-○○○○

 02 4/28 mon 13:20 090-××××-○○○○

 03 4/28 mon 12:53 柊かがみ

 04 4/28 mon 12:51 高良みゆき

 高良さんとにかがみ……

 と、知らない番号から2件。同じ番号からだ。

「ん? 誰だこりゃ?」

 一度なら間違いとか、変な電話勧誘とかかもしれないが、時間を空けて二度かけてきているのでここはかけ直しておくべきだろう。

 とりあえず知らない番号はおいといて、次にメールをチェック。

 時間が古い順に。

 4/28 mon 08:55
 【from】高良みゆき
 【タイトル】無題
 【本文】
 おはようございます。
 今日は風邪でお休みということですが、ご気分はいかがですか?
 このところは寒暖の差が激しいので心配です。

 体調が良くなりましたら昨日のお返事もぜひ聞かせてください。

 

 4/28 mon 08:58
 【from】泉こなた
 【タイトル】無題
 【本文】
 おとこ~、五月病を使うのはまだ早いよ(=ω=.)
 せっかく今日は新しいゲームを貸してあげようと思ったのに。

 

 4/28 mon 09:52
 【from】白石みのる
 【タイトル】生きてるか~?
 【本文】
 お前が貸してほしいって言ってた『頭○字D』持って来たぞ。
 お前来てないけど、また持って帰るのは重たいし、めんどくさいから
 ロッカーに勝手に入れとくけど、いいよな?

 

 4/28 mon 09:55
 【from】柊かがみ
 【タイトル】無題
 【本文】
 おっす、男! あんた風邪でダウンしてるらしいわね?
 ちゃんと安静にしとかなきゃダメよ?
 何ならお見舞い行ってあげよっか?

 ところで、みゆきとはもう話したの?
 みゆきはいつも通りの様子だったけど……

   

 4/28 mon 10:53
 【from】高良みゆき
 【タイトル】無題
 【本文】
 返信がありませんけど、そんなに体調が悪いのでしょうか?
 心配です……
 よろしければお見舞いに伺いますので、
 何か欲しいものがあれば遠慮なさらずおっしゃってくださいね。

 

 4/28 mon 11:55
 【from】高良みゆき
 【タイトル】ミルクセーキ
 【本文】
 風邪には様々な民間療法があるとされていますが、
 生卵と牛乳をよくかき混ぜて作るミルクセーキは、
 卵の良質なタンパク質やビタミンを美味しく手軽に摂取できるとされています。
 とくに解熱剤などによって胃腸が弱ったときの重要な栄養源となりますのでぜひ試してみてくださいね。
 場合によって砂糖などで調味してください。

 

 4/28 mon 13:30
 【from】柊かがみ
 【タイトル】無題
 【本文】
 さっき四人でお昼食べてたんだけど、なんか今日の放課後あんたのお見舞いに行こうっていう話の流れになったわよ。
 私はできれば一人で行きたかったかな~ なーんてね。

 てゆーか、みゆきとはどうなったの? メール返しなさいよね!

   

 4/28 mon 13:35
 【from】泉こなた
 【タイトル】無題
 【本文】
 やーやー、男、死んでないかね?(=ω=.)
 心優しき美少女四人が男のお見舞いに行ってあげようってことになったんだけど、今日の放課後、大丈夫かな?

 

 4/28 mon 13:38
 【from】高良みゆき
 【タイトル】無題
 【本文】
 お加減いかがでしょうか?お昼はちゃんと食べられましたか?
 先ほど、皆さんとお話していて男さんのお見舞いに伺おうということになったのですが、
 大勢で押しかけてご迷惑ではないでしょうか?
 泉さん達は完全に行く気になっていますが……

 

 一度にこんなにメールが来るなんて初めてだ……

 とりあえず、昼休みが終わる前に返信しておかなきゃな。

 高良さんなんか特に心配してくれているみたいだし。

 とは言え、お見舞いか……

 仮病だから罪悪感があるというのはもちろんだけど、

 今は、高良さんとかがみに、しかも二人同時に会うというのには正直気後れしてしまう。

 「風邪をうつすと悪いから」と言って断るか。

 幸い明日は4月29日、そう「みどりの日」改め「昭和の日」で祝日だ。

 明日、一日空けて、明後日に学校で二人に返事をしよう。

 ってか、何気に四連休だな、俺……

 以下、俺の返信。

 

 【to】泉こなた
 【タイトル】Re:
 【本文】
 すまん、午前中は寝てた。
 悪い、風邪うつすと申し訳ないから、今日はお見舞い来なくてもいいよ。
 気持ちだけ受け取っておくぜ、さんきゅ。ゲームはまた今度貸してな。

 

 【to】高良みゆき
 【タイトル】Re:
 【本文】
 ごめん、午前中寝てた。
 心配させちゃったみたいだね。一応もう大丈夫だし、お見舞いは迷惑なんかじゃないんだけど、うつすと悪いから今日はお見舞いはいいよ。
 今夜、ミルクセーキ作ってみる。ありがとね。

 あと返事だけど、明後日に学校で言うよ。それまで悪いけどちょっと待ってて。

 

 【to】柊かがみ
 【タイトル】Re:
 【本文】
 返信遅れて悪い! 午前中寝てた。
 お見舞いは今日はいいよ。うつすと悪いし。こなたにもそうメールしといた。

 実は高良さんとは昨日もうすでに話をしてきたんだけど……
 ごめん、返事はもうちょっと待ってくれないか? 明後日、学校で返事するから。

 

 結局、高良さんにはかがみに告られたことは伝えなかったし、

 かがみにも高良さんから告られたことは伝えなかった。

 なぜかと聞かれても、何となく言えなかったとしか答えられないけど……

 次に俺は、正体不明の番号にかけ直してみた。

 携帯の番号だったし、

 もし番号を登録し忘れたクラスメートだったりしたら昼休みの間にかけなおしておかないと……

 トゥルルルルル……
 トゥルルルルル……
 トゥルルルルル……
 トゥルルルルル……

「………」

「あの、もしもし?」

「………」

 反応がない。

 ちょっと不審に思った。

「あの、もしもし? 先ほど、この番号から電話もらってみたいなんですけど…… どちらさんですか?」

「お前……」

「え?」

 女の人の声だ。

「お前、ひぃらぎに告られただろ? あいつのこと悲しませたら、お前ぶっ飛ヴぁすからな!!」

「あ? え? ちょっと……!?」

 ブツツ……

 ………

 切れた。

 ……あの特徴のあるヴぁの発音。

 名乗りはしなかったけど、この前会ったかがみのクラスの友達だな、多分。

 名前が…… 確か日下部さん…… だっけか?。

 ずいぶん怒ってたな。

 あの時も『しょっぱい顔』とか、『うちの柊を誘惑するな』とか言ってたけど。

 でも、あの電話の受け答え方はないだろう。名乗りもしないなんて。

 しかも、ぶっ飛ばすって……

 ……女って怖いな~

 二人への返事の結論を出すのに関して、ますます気が重くなってきた。

 ってか、日下部さんはかがみが俺に告ったことを知っていた。

 あのプライドが高くて、かつ照れ屋なかがみが、自分が告白したなんてことをそうそう周りのやつに言って回るなんて考えられない……

 少し違和感がある。

 ……この話、広まってんのかな?

 だとしたらちょっとやだな……

 電話を切ると、メールが届いていた。

 

 4/28 mon 13:45
 【from】高良みゆき
 【タイトル】Re:Re
 【本文】
 私はうつっても構いません。男さんの風邪なら……
 でも、そうおっしゃるのなら今日はやめておきます。お大事になさってください。
 ミルクセーキはオススメです。うちの母が風邪のときに作ってくれるんです。お試しあれ。

 では明後日、お返事お待ちしております。

 

 4/28 mon 13:48
 【from】柊かがみ
 【タイトル】Re:Re
 【本文】
 そうなんだ?あまりにもみゆきが普段通りだから、まだ話してないのかと思っちゃった。
 私なんかそわそわしちゃってるのに、あの子ったら動じないわね~
 四人でお見舞いなっか行っちゃってたら、絶対意識しちゃってたわ。

 じゃあ、明後日、返事待ってるから。それまでにちゃんと風邪治しなさいよ!

   

 こりゃ、あさっては休むわけにはいかねーな……

 ちなみにこなたからの返信はなかった。

 まあ、あいつはズボラだからな。

 今日のように携帯をちゃんと携帯していること自体が奇跡的だ。

 ……さて、もう一眠りしようかな。

 今頃は五時間目が始まって、みんな睡魔と闘っているころだろう。

 みんなには悪いけど、俺は優雅に昼寝といくぜ!

 

  (学校) こなた「ZZZ……」

 

 そういえば、誰かにメール返してない気がするけど……

 ……ま、気のせいか。

 

  (学校) 白石「ZZZ……」

 

 俺はベッドに再び寝転んだ。

「さ、寝よ……」

 俺はここぞとばかりに惰眠をむさぼった。

 

 
  ◆  ◆  ◆  ◆

 

 ――どれくらい寝たんだろうか?

 俺は玄関のチャイムの音で目を覚ました。

 ピンポーン!
 ピンポーン!

 チャイムが鳴り続ける。

「……んあ? 誰だ?」

 時計を確認した。

 時間は五時ちょっと前。

 ピンポーン!

「はいはい、今開けますよ」

 寝ぼけ眼の俺は、のぞき窓から相手を確認することもなくアパートの玄関のドアを開けた。

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